メンターと面談
Updated Date: 2024/01/01 02:55
メンターっていう言葉を最初に知ったのは2014年くらいだったと思う。
前職に勤務していたとき「メンター制度を取り入れる」と掲示されたのが最初。
僕は当時部下がいなかったし黙々と自社サービスと向き合うSEらしくない職務を担っていたんだけど、
僕らの代はメンター制度のメンターの年齢に相応しい世代ということで例外なくメンターシップについての教育を受けることになった。
教育の担当者は元親会社の人で、その後メンターとかリーダーシップあたりのコンサルティング会社に転職した人だった気がする(もう覚えてない)。
その教育の講義でメンターの重要な点みたいなのを1日かけてみっちり教えてもらった。
この内容を現職の社内ブログで記載したところ、結構評判がよかった。
面談とか人事評価ってマネジャークラスの人しかやらないんで、こういうメンター制度のイロハは結構エンジニアや総務にも新鮮な知識として捉えられたんじゃないかと思う。
そんな思い出話をしつつ、今回の話はこのメンターと面談についてだ。
メンター制度は知ってのとおり、メンター・メンティーで別れてメンティー(面談される側)の状況や困りごとなどを把握し、 一皮向けるお手伝いをしたり、すばやく業務に慣れるための助言をしたりするやつだ。 最近のことばでいうと人事におけるオンボーディングである。
右も左も分からない新人社員の場合、企業にすばやく馴染んでくれることはそれだけで心理的安全性の一部を確保できるというものだ。 突然荒野に野放しにされた状態で放置されていては、適切な信頼関係とポジティブな意見を言えるような環境は作れない。 例外的にサバンナを愛する生命力高い新人もいるかもしれないけれど、そういう新人を採用するのは期待値が低すぎるので一般的な話で進める。
組織を作るのに必要な要素の1つは教育である。ただし、大体の企業ではこの教育をOJTという言葉で表す。
OJTはその言葉そのものは良いものだが、実際は即仕事に取り組んでもらい、見よう見まねで体に叩き込むっていう非効率な作業の連鎖を生み出すための期間になってしまう例が存在する。
参考: 「OJT」というほったらかし、「育成」という名の押しつけ -ZDNet Japan-
そうじゃない場合もあるんだろうけど、明確な教育指標とか目標指針が見える化されていないくて結局よくわかんないみたいなことになってたら、つまりそういうことだ。
で、こういう教育がまかり通ってる現場では人を育てるっていうことが組織の成長につながるなんて思ってなくて、
人が成長してくれることが組織の成長だと思ってる節がある。そして人の成長はあくまでその人の努力や行動だと思っているから、
ダメだったときに「あの人は・・・」っていう感じに人の責任にしてしまう。これじゃ人は育たないし、組織も結局マンパワーに頼るだけで形骸化してしまう。
こういう組織をぶっ壊すのは非常に簡単で、キーマンが1、2人辞めればそれでいい。
こんなあっけなく潰れる組織が「優秀な組織」なわけがない(たとえ利益や目標の成果をきっちり出していたとしても、だ)。
じゃあ、どうやって人の良し悪しを評価すればいいの?っていうと、それはやっぱり個人にフィードバックを促すしかないと思う。
正しい成長には毎回の評価があるはずだ。誰だってよくわかんない状態で本番に挑む人はいない。 受験勉強でも、資格試験でも、恋愛でも、人生においてもだ。「今の自分はどうか」ってのを無意識的にできるような人以外は、 中間ポイントで少なからず何かの自己評価をやっているものだ。 日常でやっているのに仕事ではそれをさせないなんてのは馬鹿げている。 自己評価を促すのは教育を任された人の仕事の範疇だし、目標の1つであることが重要だと思う。 これを正しく行うためには当人と会話するなりアンケートをとるなりすることになるはずだ。 その方法として面談が出てくる。
面談は人をみつつ、仕事の中身や組織の目標と取り組みのズレ、スキルや今後のキャリアプランなどの方向性の確認などなどいろいろとやるべきことみたいなのがある。
これは組織やチームによって重要視されるポイントが違うので一概にこれ!と決めることはできない。
ただ、少なくとも面談する側が勝手にその人の人格や価値観を決めつけて答えを押し付けるのは良くない。
面談を受ける人の人生は、面談を受ける人の人生である。主人公の違う物語は人の数だけ存在する。
その物語のいち登場人物として、面談をする側のマネジャーは振る舞うことを義務付けられる。
当たり前のことなんだけど、これが意外と難しい。
それゆえ面談をするにしても、その方法や進め方はメンター制度の思考法が大いに役に立つのである。
まとめ
メンターと面談は切っても切れない縁にある。個人的にはもっと現場に広まって欲しい。 技術だけで食っていこうとしている人ほど両者を蔑ろにする傾向にある気がしている。 でも、それが結果的に非効率であることを、最近の寿司職人養成所が物語っているのも確かだ。 要は企業が、組織的に人を育てさせるという文化を作り上げることさえできれば、人は自ずとその文化の柱になるし、逆も然りなのである。 ベンチャーやスタートアップという小さな会社に所属する僕らが作らないといけないのは、 スピード感のあるプロダクトである。他社との競争に負けない速度を維持するには、組織の底力が必要になる。 その源は結局人なのだ。人を育てない組織に、本当の力は存在しない。