テスト自動化の費用対効果の話
Updated Date: 2024/01/01 02:55
テスト自動化についてのROIの観点からみたWeb記事が挙がっていたので早速見てみた。
ROIの試算例から見る、日本でテスト自動化が進まない理由 - @IT
このWeb記事の著者は、あのソフトウェアテスト専門部隊を抱えるSHIFT社の中の人だった。
Web記事はコスト面(ROI)からみたテスト自動化についてという内容なんだけど、 短期的にみると外注のほうが利益回収が良い=コスト安いというのは、 テストに限らずシステム開発全般に言える話であり、こんなわざわざIT企業経営者やマネージャの立場の人たちを煽るような記事は、正直SHIFT社が外注してほしいから書いてるんじゃ?と思わないでもない。
確かに、ソフトウェアを一発作って、売って終了!ならば、安月給の人海戦術でも問題はないだろう。 今までがそうであったように、ウォーターフォールで注文住宅(ソフトウェア)を作って、 イメージと違ったら別途改修に関わる全ての費用を組み込んだ保守作業費を取るというのは、今でもSI業界で行われている開発手法である。 ただ、一部のSIerもそれではダメだと気づき始めているわけで、 こんな費用対効果の記事にだまされる(影響を大きく受ける)のは経営者だけだろうと思う。 で、実際はそこが一番問題になるわけだ。
テスト自動化は長期的な品質向上効果を狙うものだと僕は考えているので、 そもそも今回の話とはベクトルが違う。 なので、費用面だけで捉えると経営判断を見誤ると思う。 この辺は経営と現場との価値観の差なだけあって、半ばしょうがない。 諦めちゃだめなんだけど、結局そこをどう両者が詰めていくかは、 おそらく企業自体の社風や理念、向かうべき目標によって変わってくるだろう。 まあ、お堅いSI企業の場合、トップダウンは絶対なので費用面しか取り上げられず、 結果テストの自動化もできないスキル無しSIerが量産されることになるのだろうけども。
僕が今重要だと持っているのは、日本のSIerたちのITスキルの低さの問題だ。 テスト自動化然り、作業効率化も満足に実施・評価できないSIerって、 一体何を目標に工数削減・利益拡大を狙っているんだろうと常々思う。
エンジニアまでファストフードのように安売りを商売道具にする必要はないんだよ……。